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ゲド戦記シリーズ

前後のシリーズ記事

  1. 【読書感想】影との戦い―ゲド戦記
  2. 【読書感想】こわれた腕環―ゲド戦記
  3. 【読書感想】さいはての島へ―ゲド戦記 (この記事)
  4. 【読書感想】帰還―ゲド戦記
  5. 【読書感想】アースシーの風―ゲド戦記

今回の本

タイトル:さいはての島へ ゲド戦記3

著者:アーシュラ・K. ル=グウィン

さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫)

ゲド戦記、前半三冊の最終巻。ゲドの最後の冒険の物語。

あらすじと登場人物

あらすじ

世界から魔法の力が消えている。魔法使いの島ロークにその報告に来たエンラッドの領主の息子アレンは、その原因を探るべく旅に出るという大賢人ゲドに旅の連れ合いとして誘われる。

ゲドとアレンは目的地もわからぬまま、世界から魔法が消えていく理由を探るため大海原へ旅立つ。

 

登場人物

アレン(レバンネン)

エンラッドの領主の一人息子で、アースシーで最も古い家であるモレド家を引き継ぐ身。父は魔法を使えるがアレンにはその才は無い。

声変わりしてやっと二年になる年。正確は活発で何事も上手くこなすがこれまで苦労をした事はない。

ゲド

ロークの大賢人。アースシーで一番の大魔法使いで竜王。数々の冒険と実績を持つ身で、5年前より大賢人としてロークを守る立場。年は40か50。

 

感想

ゲド戦記の面白いところは、シリーズ通しての主人公であるゲドの目線で描かれたのは1巻だけで、2巻はテナー、3巻はアレンが主人公として、ゲドを見つめ、ゲドに導かれる存在として描かれているところ。各巻の主人公に共通するのは自分が何者かまだわかっておらず、子供から大人に変わりつつある年代というぐらいで、後は多種多様。そんな彼、彼女達の成長が大きなテーマになっていて、ファンタジー小説とはいえこれからの人生に必要な事、大切な事を教えてくれます。

で、この3巻。旅の途中で、ゲドとアレンは様々な理不尽や暴力に晒され、危険にあふれた航海をするわけですが、だんだんと二人の距離が離れたり近づいたりするのが人間関係の面白さをうまく表現していてすごいリアルというか読んでいて辛かったり楽しかったり。はじめは生ける伝説のゲドに対して憧憬、尊敬の念しかなかったアレン。海賊との一件でさらに尊敬したかと思えば、好ましくない新しい連れの出現による疑念が生まれ、ゲドが怪我をした事で今までの魔法の出し惜しみを悪い方に思い出したり、ゲドには既に自分の身アレンの身を守る力が無いのだと絶望を感じるのは、勝手に期待して勝手に後悔して~という感じで誰だってその立場に置かれたらそう思うよね、物語のキャラクターでもそう思っちゃうよねと同情。その後ちゃんと助かって健康が満たされたらちゃんとその件について後悔するのもなんとも人間くさい。やっぱり人間空腹とかピンチの時にマイナスの事が起こるとマイナスを突き抜けちゃうよね。

ただそんなアレン、冒頭からすごい目配りが利く子で、幼い頃からの宮廷での利己的な大人達に囲まれてきた為か、ゲドが黙っている時には無理に話しかけなかったり、筏で漂流する民が、水をアレンに渡す動作だけで水の貴重さを理解したり、とにかく優秀な為政者の資質を持っている事がわかるわけで、そんな彼がこの旅によって生きる事、死ぬ事の意味や意義を理解していくというのはこの旅そのものが、アースシーにとってのプロセスだったと考えるとすごい滾る。アースシーすごい。

 

好きなシーン

アレンがゲドをはじめて見た時の、ゲドのこれまでの功績を説明してくれるところ。アレンの高揚感も含めてこういう説明の仕方が好きなんですよね。

アースシー一の大魔法使いであり、ファンドールの黒い井戸にふたをし、アチュアンの墓からエレス・アクベの腕輪を奪い返し、ネップのあのしっかりとした護岸壁を築いた男、アスタウェルからセリダーまで、ありとあらゆる海を知り尽くしている偉大なる航海者、そして、今では世界でただひとりとなった竜王なのだ。

これまでに描かれたのは2巻でのエレス・アクベの腕輪の奪還だけ。この3巻ではさらに重大な功績を立てるけども、いつのまにか大賢人となったゲドの人生の壮大な事。「これまでの功績」として片付けられるには惜しい。どれも読んでみたい話ばかり。

おわりに

ゲド前半三部作も終わり。子供の時に最初に読んだのはここまでで、この後に続編が発売すると聞いて驚いたものです。アースシーが多島海な世界である事も含めて世界を最大限に利用した物語。後半部分は子供の頃は難しかったけれど、大人になった今ではアレンの気持ちもゲドの気持ちもよくわかって読み応えのある話だと思います。

ジブリのアニメ映画はこの3巻目を中心に作っているけれども、原作に忠実にするだけで素晴らしい作品になったのなぁとやっぱり考えただけで残念な気持ちに。メインキャラクターが男二人なのでヒロインや女性キャラクターを無理やり登場させる為に話が歪んでいったとしか思えないし、生と死を見つめ直す題材に親殺しは必要なかったよなぁと(この話題になると愚痴が止まらなくなる)。

 

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