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ゲド戦記シリーズ

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タイトル:こわれた腕環 ゲド戦記2

著者:アーシュラ・K. ル=グウィン

こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)

子供の時からこの表紙の絵が好きなんですよね。理由はハッキリ説明できませんが。暗闇の中を歩くゲド。その手には光を放つ杖。そして以前彼は影と別れ、影を取り込んだ~とかがこの1枚に表れているからですかね。

 

あらすじと登場人物

あらすじ

カルカド帝国のアチュアン島。その地にある墓所に仕える大巫女は代々転生するとされ、先代巫女が死んだその日のうちに生まれた健康な女の子は5歳になるとそれまでの名を捨て、名なき者に仕える大巫女となる。

新たな大巫女として名なき者に名を喰われ、アルハと呼ばれる事となった少女。墓所の神殿という狭い世界の中で成長していくが、ある日墓所の迷宮に侵入する異国の魔法使いを発見する。

魔法使いを大迷宮に閉じ込めたものの、初めて見る外の世界の人間に興味をもったアルハは、彼を生かしておくことにするが…

 

登場人物

アルハ(テナー)

アチュアンの墓所の大巫女。名なき者に仕える。本名はテナー。アルハは<喰らわれし者>という意味。

5歳の時より両親の元から離れ大巫女として育てられる。

白い肌で黒髪。

ゲド

魔法使いにして竜王。遥か昔に2つに割れた腕輪の片割れを求め、アチュアンの地下墓地に潜入する。

地下墓地の名なき者たちを抑えるために魔法の力を駆使しており、消耗している。

 

感想

前半はテナーの大巫女としての毎日が紹介されるという割と淡々とした日常の話。だからなのかとても読みやすくページをめくる手が止まらなかった。そしてゲドと遭遇すると彼女の日常は一変。信じてきたものが崩れる中、彼女が選択する未来は・・・というお話。テナーは昔読んだ時は高飛車なイメージがあったけど、今回読んだときには特に感じず。ちょっとプライドの高い普通の女の子って感じで、その地位に応じた演技を自分に課しているだけという印象。

前巻で登場した孤島の謎の老人二人が持っていた腕輪のフラグがここで回収。流石にこの腕輪はあまりに思わせぶりなので何の驚きもないけど、他の思わせぶりな言及があったものはだいたい後で回収してくれるのでゲド戦記の読み直しは本当に楽しい。2つが1つとなった腕輪はもっとマジックアイテム!というのを期待していたものの護符みたいな感じで見えないものからの守りって感じなんですかね。エフェクトは地味。

ゲドは前巻の最後から何年経ったんだろう。精神的にも魔法使いとしても大きく成長しており、テナーに対して常に優しく、導く存在。ただテナーと出会って腕輪(この時は半分に割れた状態なので首にかけたお守り)を奪われるときに思わず「どういうものかも知らないくせに。」と言い放つのは、むかしの彼を思い出すというかゲドの感情が露わになるという意味ですごい好き(その後蹴られるのも含めて)。

心に残った名言

自由になったテナーがその自由の重みを感じるシーンは心にきました。

彼女が今知り始めていたのは、自由の重さだった。自由は、それを担おうとする者にとって、実に重い荷物である。勝手のわからない大きな荷物である。それは、決して気楽なものではない。自由は与えられるものではなくて、選択すべきものであり、しかその選択は、かならずしも容易なものではないのだ。

この巻のテーマがここだと思います。自由の重さ、そしてその責任。決断をせず、他人にすべて委ねてしまうという事はなんと楽なことか。幼い頃より敷かれたレールにのってきただけの少女にとって、急に与えられた自由というのがなんと大変なことか。しかしそれを正面から受け入れようとするテナーの強さにも感動です。

 

おわりに

この物語はテナーの物語。竜王となり大賢人にはなっていないもののかなり力を持つ存在となったゲドなのに、その力を実感をもって感じられないのはちょっと残念。杖の先を光らしてるだけの人。けれど最後の「鎮め」を何も言わずにサラッとやってる所が憎らしいというかかっこいいですけど。

むかし読んだ時は1巻と3巻の間の繋ぎの巻というイメージでしたが、テーマもはっきりしているし、アースシーのでの敵役カルカド帝国の内情もちょっとだけわかるし、テナーを通じて自由の意味を知る事ができる。繋ぎなのでは決して無い、心にささる物語でした。

 

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