【読書感想】不眠症

【読書感想】不眠症

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今回の本

タイトル:不眠症

著者:スティーヴン・キング

不眠症〈上〉 (文春文庫)不眠症〈下〉 (文春文庫)

あらすじと登場人物

あらすじ

70歳の老人であるラルフは、最愛の妻の死をきっかけに徐々に眠りが浅くなり、不眠症で悩まされるようになる。

様々な民間療法を試すも一向に改善しないままだったが、ある深夜、窓の外に怪しげなチビでハゲの医者がうろついているのを発見する。不眠症による妄想なのか現実なのかがハッキリしない状態で、ラルフの苦悩は深まるばかり。

一方、デリーの町に妊娠中絶に賛成を示す女性啓蒙運動の活動家がやってくる事を契機に、町では世論を二分するほどの争いに。その熱狂はラルフの回りでも影響を及ぼしていき、隣人エドがその妻に暴力をふるう切っ掛けにもなる。

それまでは穏やかだった町が狂気に侵され、ラルフは徐々に不思議な事巻き込まれていく…

 

登場人物

ラルフ

70歳の老人。愛する妻キャロリンに先立たれた後、不眠症に悩まされる事になり、不思議なオーラが見えるようになる。得意技は空手チョップ。

ロイス

ラルフの近所に住む太り気味の68歳の老女。聖母ロイスとも呼ばれることも。夫に先立たれ一人暮らし。

チビでハゲの医者

チビでハゲの医者としか外見では判断できない謎の3人組。ぶかっといた白衣をきている。

エド

ラルフの隣人で製薬会社に務める研究員。妻子と共に幸せな生活を送っており、ラルフ達とはよき隣人関係を築いていたが、実は…

 

感想

最初はタイトルである不眠症という言葉と作者がスティーブン・キングという事から、このお話はてっきりホラーかサスペンスとばかりに思ってたんですけど、ものの見事にファンタジーでした。びっくり。

文庫は上下2分冊でかなり分厚く長い物語。ラルフが徐々に不眠症に悩まされ、自分が狂っているのかどうなのか苦悩する様と、ラルフの隣人が狂気に侵され、妻に暴力を振るうまでの物語は完全にホラーじみたストーリーで完全にのめり込む。

中盤でオーラが云々と出だしたところであれ?と思ったらその後はもう見事にファンタジー小説に。現実の世界と違うレベルの世界を見ることになった人々の、意図と偶然の争いに巻き込まれる様が描かれていました。このオーラを認識しだしてからのファンタジーへの切り替えがお見事というか。今まで起こっていた事柄を説明できる答えが現れた時からの展開が素晴らしい。これがキングか。

妙に気になったのは要所要所でホビットの冒険、指輪物語の話題が出てきた事。この翻訳した人はもとの小説を読んだこと無いのか意地でも同じ翻訳は使わんと思ったのか単に使用権とかの問題なのか、指輪物語に登場する固有名詞や冒頭の「一つの指輪」に関する詩の訳が瀬田貞二訳とは微妙に違う感じに。

こちらが不眠症で出た詩

すべてを支配するひとつの指輪。すべてを見つけ出すひとつの指輪。すべてを呼びあつめ、暗闇のなかで結びつけるひとつの指輪、影に覆われたモーダーの領土で。

こちらが瀬田貞二訳のほう

一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、一つの指輪は、すべてを捕らえて、くらやみのなかにつなぎとめる。影横たわるモルドールの国に。

どうしても慣れ親しんでる分瀬田訳の方がシックリくるわけですけど、雰囲気がまた違っていてこれが翻訳の妙かと勝手に感心して納得。

読み終わった時に最初に思ったのが、この物語は1つの物語として完結しているものの、ダークタワーシリーズの外伝に近いものなんだなと。スティーヴン・キングはドラゴンの眼ぐらいしかまともに読んだことはないので、あんまり作風というか世界観がリンクしているって知らなかったんですよね。ダークタワーもまったく読んだ事はないものの、シリーズの主人公の名前はどこかで見た事があったのでなるほどそういう事かという感じ。正直あまり好きではない手法ではあるけども、ダークタワーがこうなると気になって気になって。もう次はダークタワーシリーズに手を出すしかないなと思いました。完璧に術中にはまっている感じはある。

 

おわりに

前述しましたがホラーと思ってガッツリ構えてたので、まずこの本を手に取るまでに数ヶ月かかり、意を決して読み始めてみたところ序盤を乗り越えた後はスイスイ最後まで一気に読めました。もっと早くから手を付けておけば良かったです。同じように読まず嫌いというか手をつけてもいない本が机の横に積まれているので、どんどん消化していきたいところ。いやその前にキング作品(ダークタワー)か。悩ましい。

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