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今回の本

タイトル:タボリンの鱗 竜のグリオールシリーズ短篇集
著者:ルーシャス シェパード

読んでいない方への紹介

前作である『竜のグリオールに絵を描いた男』で描かれた、全長1マイルにもおよぶ巨大な竜、グリオールについての短編集。

fantasyport.net
(ページ111607)
https://fantasyport.net/entry/2018/09/10/111607

 

竜のグリオールははるか昔、魔法使いによって身体を麻痺させられたが、死ぬ事なく成長し、いつしか人々はその巨体の周りや背中に町を作っていった。

動けないながらも圧倒的な精神力をもつグリオールは、多くの人々に影響を与え、竜の意思に近づきすぎるとその意思に操られると信じられている。

 

前作ではそんなグリオールとの奇妙な共生関係やグリオールを殺した男の話。そして今作はそんなグリオールが死んだあとの話が2編。

タボリンの鱗:グリオールの死後、グリオールの鱗を拾った事で男は過去に飛ばされる事になる。そこには魔法使いに麻痺させられる前、空飛ぶ若きグリオールの姿があった。

スカル:グリオールの頭蓋骨が運ばれた中南米のある国家。何代にも渡って放置され忘れられた頭蓋骨だったが、ある宗教団体が骨を利用して儀式を行うようになり…

ネタバレ含む感想

タボリンの鱗

死んだとされるグリオールだが、本当に死んでいるか試す方法がないという話から始まり、若い時のグリオールの鱗を拾った男と娼婦が若きグリオールが空を飛ぶ時代にタイムスリップ。グリオールに飼われるような生活の中、同じようにグリオールによって移動させられ、家族の虐待を受けていた美しい少女を救う。3人で疑似家族として生活していたが、突然火を吹き襲いかかるグリオール。そして気づけばまた元の時代に戻りグリオールの終焉を見届けることになる・・・というお話。性の問題・人間の残虐性・極限状態で精神を保つにはと、とにかく暗黒面・人間の気持ち悪い点を感じさせられた。

しかしやはり面白いのはヤング・グリオール。これまでは基本的に「動かない舞台装置」な彼だが、空飛び、炎吐きとハリウッド映画のように元気に動き回ってるのは中々に楽しい。このあと麻痺させられて何千年も横たわることになるとはこの時のグリオールは夢見ても無かったんだろうなぁと。いやわかってたのか?グリオールの真意はわからず。

スカル

グリオールの頭蓋骨は中南米のある国家に運ばれたが、内戦や反乱によってジャングルの中の忘れられた遺物となっていく。あるアメリカ人の男は、そんなグリオールの頭蓋骨に住み、人々に教祖のように崇められる少女と出会う。その儀式の様に恐れ逃げ出したが、10年後ふたたび彼女を求めて戻っていく。彼女の消息を求めて過去の人脈から探りを入れるが、途中で右翼政党のリーダーに捕まってしまう。実は彼はグリオールの頭蓋骨から儀式によって産まれたグリオールの生まれ変わり。彼女も彼を誕生させた後は使用人のように彼に仕えていたが、彼の生まれながらの残虐性を断つため、二人は協力して彼を殺そうとするが…というお話。

頭をガツンと殴られたような話だった。中南米を舞台にした社会派小説でも読んでいる気分になり、時折見え隠れする「グリオールの影響」を感じることでハッと今読んでるのはファンタジー小説だったと我に返る。暴力、殺人、政治腐敗、ありとあらゆる悪徳が似合ってしまう中南米の国に、グリオールが頭蓋骨があるという設定だけでこんなにすごい話になるのかと。「グリオール」というだけでどれだけのアイデアが産み出せるのか。作者もグリオールに操られているんじゃないかというぐらいすごい。

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