あらすじ

魔術が高度な専門技術とみなされている1900年代初めのロンドン。魔術師養成学院を卒業したシオニーは、金属の魔術師になりたかったのに、人気のない紙の魔術の実習を命じられた。そのうえ師匠の折り師セインは変わり者。だが気の進まない勉強を続けるうちに、彼女は紙の魔術の魅力と師匠の優しさに気づきはじめる。そんなある日、セイン師が禁断の魔術の使い手に襲撃され…!魔法きらめく歴史ファンタジイ三部作開幕。(「BOOK」データベースより)

感想

素直に面白い良質ファンタジーだった。主人公シオニーがとにかく好み。赤毛で優れた観察眼と記憶力を持っているけども、皮肉も堂々と吐くし割と無鉄砲。赤毛つながりで赤毛のアンをちょっと思い出す。でもシオニーは少女ではなく19歳の女性。所々に描写される女性特有の動作(化粧や床に座るときの所作)にドキリとさせられたり。作者が女性なのでとにかくこの辺は上手い。このシオニーの眼を通して描かれるストーリーが、文字なんだけど文字以上の情報を与えてくれて物語を一層細かに描写してくれていると思う。その一番の観察対象に当たるセイン師の目がわかりやすすぎるだけかもしれないけど。目は心の窓というやつです。

この世界での魔術は技能の1つ。養成学校を卒業してある1つの物質と契約をすればその物質を介した魔術を使えるようになる。今の専門学校的な感じか?ただし1つの物質と契約すれば他の魔術は使えない。契約できるのは人間が作り出したもののみ。石とは契約できないらしい。人体とは契約可能で、そこが禁断の魔術。禁忌を犯した魔術師は追われる存在となる。1900年代初頭が舞台なのでプラスチックが発展途上の未来ある魔術扱いなのも面白い。もし舞台が今の時代だったらどんな魔術があるだろうか。シリコンやステンレスとか?新しい合金とかも色々出ているけど逆に1周回って原点回帰して紙が再注目されたりしているかもしれない。

シオニーとセインが使う紙の魔術というのは、一言で言ってしまうと「折り紙」。紙吹雪やカエル、飛行機など…日本人なら誰もが1度は折ったことがあるだろう折り紙が、命あるように動き回る魔術。ただその紙の魔術をどう使いどう利用するかの流れが、紙の魔術=折り紙な事である程度予想できてしまって残念だった。これは日本人なら仕方ない。むかし外国人とハウスシェアしてた時、適当に紙で鶴や手裏剣を折ってプレゼントするとすごく感激してくれたのを思い出す。みんな折ったこともないしテレビか何かで見たことがあるレベルらしい。ならばと折り方を教えてあげても、これは初めてだからとか性格のせいかもしれないけどもキッチリ折るという事ができず酷い出来のものばかりだった。本人達は満足してたけど。…という感じで折り紙に触れたことない人は凄く新鮮な話なんだと思うけど日本人はちょっと損するかもしれない。深く情景描写ができるからトントンか。

あと料理描写が結構多くて。(まずいと評判の)典型的なイギリスの料理で逆に食欲がそそられる。キュウリのサンドイッチ、ポテトサラダ、フィッシュ&チップス…なんとまぁイギリスらしい。ほんと結構でてくるので読んでる間にお腹が鳴って一瞬現実に帰る羽目に。こういう料理とか洗濯、掃除等の日常描写も登場人物たちが生活して生きている感じがして良かった。

この巻だけでちゃんと完結しているけど、続編である2巻3巻も来年から刊行予定。映画化の話も進んでいるようだし、しばらく楽しめそうなシリーズが増えて嬉しい限り。

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Port感想・レビュー海外文学あらすじ 魔術が高度な専門技術とみなされている1900年代初めのロンドン。魔術師養成学院を卒業したシオニーは、金属の魔術師になりたかったのに、人気のない紙の魔術の実習を命じられた。そのうえ師匠の折り師セインは変わり者。だが気の進まない勉強を続けるうちに、彼女は紙の魔術の魅力と師匠の優しさに気づきはじめる。そんなある日、セイン師が禁断の魔術の使い手に襲撃され…!魔法きらめく歴史ファンタジイ三部作開幕。(「BOOK」データベースより) 感想 素直に面白い良質ファンタジーだった。主人公シオニーがとにかく好み。赤毛で優れた観察眼と記憶力を持っているけども、皮肉も堂々と吐くし割と無鉄砲。赤毛つながりで赤毛のアンをちょっと思い出す。でもシオニーは少女ではなく19歳の女性。所々に描写される女性特有の動作(化粧や床に座るときの所作)にドキリとさせられたり。作者が女性なのでとにかくこの辺は上手い。このシオニーの眼を通して描かれるストーリーが、文字なんだけど文字以上の情報を与えてくれて物語を一層細かに描写してくれていると思う。その一番の観察対象に当たるセイン師の目がわかりやすすぎるだけかもしれないけど。目は心の窓というやつです。 この世界での魔術は技能の1つ。養成学校を卒業してある1つの物質と契約をすればその物質を介した魔術を使えるようになる。今の専門学校的な感じか?ただし1つの物質と契約すれば他の魔術は使えない。契約できるのは人間が作り出したもののみ。石とは契約できないらしい。人体とは契約可能で、そこが禁断の魔術。禁忌を犯した魔術師は追われる存在となる。1900年代初頭が舞台なのでプラスチックが発展途上の未来ある魔術扱いなのも面白い。もし舞台が今の時代だったらどんな魔術があるだろうか。シリコンやステンレスとか?新しい合金とかも色々出ているけど逆に1周回って原点回帰して紙が再注目されたりしているかもしれない。 シオニーとセインが使う紙の魔術というのは、一言で言ってしまうと「折り紙」。紙吹雪やカエル、飛行機など…日本人なら誰もが1度は折ったことがあるだろう折り紙が、命あるように動き回る魔術。ただその紙の魔術をどう使いどう利用するかの流れが、紙の魔術=折り紙な事である程度予想できてしまって残念だった。これは日本人なら仕方ない。むかし外国人とハウスシェアしてた時、適当に紙で鶴や手裏剣を折ってプレゼントするとすごく感激してくれたのを思い出す。みんな折ったこともないしテレビか何かで見たことがあるレベルらしい。ならばと折り方を教えてあげても、これは初めてだからとか性格のせいかもしれないけどもキッチリ折るという事ができず酷い出来のものばかりだった。本人達は満足してたけど。…という感じで折り紙に触れたことない人は凄く新鮮な話なんだと思うけど日本人はちょっと損するかもしれない。深く情景描写ができるからトントンか。 あと料理描写が結構多くて。(まずいと評判の)典型的なイギリスの料理で逆に食欲がそそられる。キュウリのサンドイッチ、ポテトサラダ、フィッシュ&チップス…なんとまぁイギリスらしい。ほんと結構でてくるので読んでる間にお腹が鳴って一瞬現実に帰る羽目に。こういう料理とか洗濯、掃除等の日常描写も登場人物たちが生活して生きている感じがして良かった。 この巻だけでちゃんと完結しているけど、続編である2巻3巻も来年から刊行予定。映画化の話も進んでいるようだし、しばらく楽しめそうなシリーズが増えて嬉しい限り。 関連リンクアウトプットの為の旅行・一人旅の記録と主にファンタジー小説の読書感想

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