あらすじ

ブラム・ストーカー賞最優秀長篇小説賞、日本冒険小説協会大賞受賞。第三次世界大戦勃発。核ミサイルによる炎の柱と放射能の嵐が全土を覆い尽くした。生き延びた人々を待っていたのは、放射能障害、「核の冬」の極寒、そして過去の遺物の争奪…死よりなお凄惨な狂気の世界であった。核戦争後のアメリカ大陸を舞台に繰り広げられる世界再生の鍵を握る少女スワンを巡る聖と邪の闘い。世紀末の黙示録神話を描く「超」大作巨篇。(「BOOK」データベースより)

 

感想 

久しぶりに心を揺さぶられた作品を読んだ。自分にも感受性がこんなに残っていたのかと言うぐらい。人間の醜悪さ、愚かさをこれでもかというぐらいに見せられ、読めば読むほど辛くて気持ち悪くて吐きそうになるような感覚に襲われもう読むのを辞めたいと何度も思うけれどもそれでも手を震わせながら読む。ジャンルはモダンホラー/ダークファンタジーになるのか。普段読まないジャンルだから衝撃が大きすぎた。

あとがきにもあるように現代の聖杯伝説であり、モチーフとか聖書に関係するワードが数々あるけれども、そういう事をほとんど意識せず読めたのが良かった。宗教関連の言及があんまりありすぎると興ざめする方なので。裏テーマぐらいでちょうどいい。

奇跡の少女スワン、不屈の心を持ったシスター、悪役巨人レスラーのジョシュ。魅力的なキャラクターは多数登場するけれども読んでて一番気になったのはコンピュータオタクでひ弱ないじめられっ子ローランド。核汚染されたこの地獄の世界では、心を保つ為に何かに縋らなくてはいけない。彼は自分をゲーム内の主人公であるキングスナイトとして王を助ける事を自分の使命として言い聞かせなくてはならなかった。ちょっと歪んでいたかもしれないが、元は純粋だったであろう少年が、王として担いだヴェトナム帰還兵であるマクリン大佐の指示に従い、生きるために悪事に手を染め、王を助けるために率先して智謀を駆使し、拷問のスペシャリストとなる。生きるため、この世界だからと心が濁っていく過程が、元の少年を知っているだけにどうしてそうなるんだ・・・と悲しくなっていくばかり。辛かった。

前半の絶望から後半の希望へと繋がるけども、前半で絶望して憔悴した感じになったのに比べ、後半の(ファンタジーな要素のところも含めて)流れが弱く、ちょっと薄っぺらく感じてしまった。物語の最初から悪魔とみられる超常の人物が登場して、これはファンタジーですよって言ってくれてはいるけれども、第三次世界大戦による核汚染後の修羅の世界という人間の悪・負の部分しかない状態の書き込みがリアルすぎてそんな意識がぶっ飛んだ所にあるわけで、その状態で奇跡を目の当たりにしても割と困惑が大きく。そこがちょっと残念だった。 

しかしホントしばらくは笑える怖くない作品が読みたい。底抜けに明るいやつ。それか学術書。なんせ疲れなくて夢に出てこないようなやつがいい。

読んでた時のtwitter

最初の核戦争起きるまで、どんな話かわからなくてこうなってたんですよね。

 そしてやられてる

 

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

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スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

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https://i1.wp.com/fantasyport.net/wp-content/uploads/2017/10/hatena_aws.gif?fit=45%2C60https://i1.wp.com/fantasyport.net/wp-content/uploads/2017/10/hatena_aws.gif?resize=45%2C60Port感想・レビュー海外文学あらすじ ブラム・ストーカー賞最優秀長篇小説賞、日本冒険小説協会大賞受賞。第三次世界大戦勃発。核ミサイルによる炎の柱と放射能の嵐が全土を覆い尽くした。生き延びた人々を待っていたのは、放射能障害、「核の冬」の極寒、そして過去の遺物の争奪…死よりなお凄惨な狂気の世界であった。核戦争後のアメリカ大陸を舞台に繰り広げられる世界再生の鍵を握る少女スワンを巡る聖と邪の闘い。世紀末の黙示録神話を描く「超」大作巨篇。(「BOOK」データベースより)   感想  久しぶりに心を揺さぶられた作品を読んだ。自分にも感受性がこんなに残っていたのかと言うぐらい。人間の醜悪さ、愚かさをこれでもかというぐらいに見せられ、読めば読むほど辛くて気持ち悪くて吐きそうになるような感覚に襲われもう読むのを辞めたいと何度も思うけれどもそれでも手を震わせながら読む。ジャンルはモダンホラー/ダークファンタジーになるのか。普段読まないジャンルだから衝撃が大きすぎた。 あとがきにもあるように現代の聖杯伝説であり、モチーフとか聖書に関係するワードが数々あるけれども、そういう事をほとんど意識せず読めたのが良かった。宗教関連の言及があんまりありすぎると興ざめする方なので。裏テーマぐらいでちょうどいい。 奇跡の少女スワン、不屈の心を持ったシスター、悪役巨人レスラーのジョシュ。魅力的なキャラクターは多数登場するけれども読んでて一番気になったのはコンピュータオタクでひ弱ないじめられっ子ローランド。核汚染されたこの地獄の世界では、心を保つ為に何かに縋らなくてはいけない。彼は自分をゲーム内の主人公であるキングスナイトとして王を助ける事を自分の使命として言い聞かせなくてはならなかった。ちょっと歪んでいたかもしれないが、元は純粋だったであろう少年が、王として担いだヴェトナム帰還兵であるマクリン大佐の指示に従い、生きるために悪事に手を染め、王を助けるために率先して智謀を駆使し、拷問のスペシャリストとなる。生きるため、この世界だからと心が濁っていく過程が、元の少年を知っているだけにどうしてそうなるんだ・・・と悲しくなっていくばかり。辛かった。 前半の絶望から後半の希望へと繋がるけども、前半で絶望して憔悴した感じになったのに比べ、後半の(ファンタジーな要素のところも含めて)流れが弱く、ちょっと薄っぺらく感じてしまった。物語の最初から悪魔とみられる超常の人物が登場して、これはファンタジーですよって言ってくれてはいるけれども、第三次世界大戦による核汚染後の修羅の世界という人間の悪・負の部分しかない状態の書き込みがリアルすぎてそんな意識がぶっ飛んだ所にあるわけで、その状態で奇跡を目の当たりにしても割と困惑が大きく。そこがちょっと残念だった。  しかしホントしばらくは笑える怖くない作品が読みたい。底抜けに明るいやつ。それか学術書。なんせ疲れなくて夢に出てこないようなやつがいい。 読んでた時のtwitter 昨晩からスワン・ソングを読み始めたんだけど、数ページで寝落ちしてしまっていて前途多難感がある。完走できるだろうか— Port (@FantasyPort) 2017年6月16日 最初の核戦争起きるまで、どんな話かわからなくてこうなってたんですよね。 スワン・ソングの第一部(上巻)終わり。もう心が苦しい。重い。軽い適当なファンタジーっぽい本貸してと言ったはずなのに。でも読んじゃう。— Port (@FantasyPort) 2017年6月26日 下巻も覚悟を決めて読もう。たまに読んでる手が震える。— Port (@FantasyPort) 2017年6月26日  そしてやられてる   スワン・ソング〈上〉 (福武文庫) 作者: ロバート・R.マキャモン,Robert R. McCammon,加藤洋子 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション 発売日: 1996/10 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 577回 この商品を含むブログ (10件) を見る   スワン・ソング〈下〉 (福武文庫) 作者: ロバート・R.マキャモン,Robert R. McCammon,加藤洋子 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション 発売日: 1996/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (5件) を見る    好きなものを好きな時に好きなように